弁膜症の自覚症状 その2

弁膜症の自覚症状の詳細については過去の記事に体験を書いたが、その後感じていることを書き加えたいと思う。

私は術後になって初めて、術前に自分が抱えていた数々の自覚症状を認識することができた。自覚症状が無かったのではなくて、気付かないか、自ら気付こうとしなかっただけなのだ。

そして、今、術前の自覚症状を改めて認識することが出来るようになって、そのことが、もし将来の自分の体に異常状態が発生した時に、アラートとして敏感に察知する能力を高めてくれている気がする。

例えば、3月11日のあの東日本大震災が発生した後、数日間、私の心臓は暴れていた。心拍数が上がり、軽い動機を感じる状態。ある種の興奮状態か?それが平常時の自分の心臓の状態と異なっていたことを自ら認識できる。何かしらの心臓の異常による自覚症状を単に加齢による体の衰えと安易に思いこむのではなく、冷静に自分の体を診断できる。手術を経て、そういう能力を得たのではないかと思う。その後、桜の開花と共に、私の心臓は元の術後の健常な状態に戻った。

前回、大和成和病院での南淵先生とは違う別の先生の外来診察で、「あなたの心臓には今でも逆流があります」と説明を受けた時、更に、「術前に自覚症状を感じていましたか?」と質問を受けた。
「術前にははっきりと分かりませんでしたが、今から思えば自覚症状は沢山ありました」と説明したところ、その回答に「うんうん」とうなずかれていた。恐らく、その医者は、この患者は、将来の自覚症状を認識できる能力をもう持っているのだと、その私の回答で確認されたのではないかと思う。

もし、ドラえもんのポケットから「握手をしてスイッチ一つで自分の体と他人の体を瞬間的に交換できる機械」が目の前に出てきたならば・・・・「あの人の体ならこんなに元気なんだ!」、「体が軽いし、運動しても全然疲れない!」とか・・・実感できるのかもしれない。また、「この胸の痛みはやはり異常なんだ」「ドクっと脈が乱れる、これが不整脈なんだ」と諸症状を理解できるかもしれない。

病気を患ったからこそ、自分の体調の変化を敏感に感じることができる訳で、これも心臓病のメリットの一つと、少し強引だけど思いたい。

<=PREV NEXT=>

弁膜症の自覚症状

弁膜症の自覚症状はあまり認識されないと言われている。何年もかかって徐々に症状が悪くなり、自覚症状を認識するに至る段階においては、既にそれなりの血液の逆流が発生しているケースが多いようだ。何か体の不調やちょっとおかしいかなと思うような症状があれども、自分は病気なのだと思い込みたくない、そういう心理が自覚症状を認識させないようにしているように思う。

最も、客観的には、聴診、心電図、エコー検査で、自覚症状がなくとも弁膜症は診断がつく。

私の場合も、手術を受けるかなり直前になるまで、幾つかの状況が弁膜症の自覚症状なのだという認識はあまり持っていなかった。ところが、手術を受けて、弁の手直しをしてもらうと、様々な体調の変化が現われはじめて、改めて術前の各種症状を強く認識することができた。

思い出す限りにおいて、どういう症状が術前に私に起こっていたか参考までに記したいと思う。ちなみに、これらの症状は手術を受けた後はほとんど無くなり、現時点では体調は本来あるべき状態に戻ったと感じている。症状は人それぞれ異なるので、鵜呑みにせず、あくまでも参考としてお読み下さい。

①動悸・息切れ:
手術の10年近く前から多少の動悸はあった。これは少し異常かなと思う強い動悸が発生しはじめたのは、術前5年くらいか。降圧剤(ナディック)のお蔭で動悸はかなり抑えられていた。手術を受けなければと覚悟した一つの理由は、この動悸を無くしたいということであった。
また、会社から最寄駅までの徒歩10分程の距離を、会社の同僚としゃべりながら歩くと、駅にたどり着く頃には息が切れて、一息つかないと言葉を発しにくい状況になっていた。

②長距離歩いた時の疲れ:
普段、会社の通勤に片道4km、約50分を朝夕歩いていた。朝は問題ないのだが、帰りは30分程歩くと、脚が金縛りにあったかのように上がらなくなり次の一歩を歩むのが大変辛かった。脈拍は運動中でも90台までしか上がらなかったし、又、夕方なので腹が減っておりカロリー不足でエネルギーが無くなった為かと思っていた。しかし、今は空腹でもそれなりに歩けるので、これも心臓病の影響であったようだ。運動は医者としては勧められないと術前に言われていたので、ひょっとしたら、これはかなりやばい状況(心不全?)だったのかもしれない。

③腹が異常に減る:
会社の昼ご飯の時間まで待てなくて早弁したいくらい、食欲があった。胃が痛くなるくらい腹が減る。空腹を感じるということは決して悪いことではないらしいが、普通よりも減りすぎる感覚だった。術前8年くらいから。

④首筋の痛み:
手術の2年前くらいから頻繁に感じだしたのが、首筋の筋肉痛のような痛みである。横や後ろを振り向けないくらい痛い。当時、自分的には、枕が合わないのか、肩こりのようなものなのかという認識であったが、放散痛だったのかもしれない。術後も軽い痛みは継続。首のレントゲンも撮って診てもらうが骨に異常なしとのこと。

⑤上を向いて眠れない:
上を向いて寝転がってもシンドイ訳ではないのだが、そのまま眠ることができなかった。眠りそうになると、息をプッと吹き出すようにして目が覚める。手術の4年前くらいからこの症状が始まり、その後ずっと横向きかうつ伏せで寝ていた。右が下でも左が下でもそれは問題なかった。睡眠時無呼吸症候群を疑ったが、起座呼吸の初期症状だったのかもしれない。術後は胸骨がひっつくまでは横向きに寝るのは無理だと思っていたので、この点はかなり不安だった。南淵先生にも麻酔の先生にもこの点を相談したが、「大丈夫でしょう」とのこと。実際、術後数ヶ月は問題なく仰向けに眠ることができた。心臓を治したので仰向きに眠れるようになったのかと喜んだが、数カ月経って再び仰向きで眠れなくなった。

⑥胸に違和感:
手術の7、8年前から、胸の違和感を感じていた。痛い訳では無くて、なんとなく圧迫感のような違和感があるという感じ。また、その違和感は周期性があって、大体一ヶ月半から二ヶ月の周期で違和感を感じる時期とそうでない時期が交互にやってきていた。

⑦慢性的な下痢:
便がいつも柔らかかった。また、朝食後、昼食後の二回と回数も多め。手術の10年前くらいから。胃腸系の病気かと思ったが、なぜか心臓を直したら、これも普通に戻った。又、牛乳を飲むと100%お腹を壊していたが、今は大丈夫になった。

⑧夜中に小便に起きる:
利尿剤を飲んでいる訳でもないのに、水分を取ると結構頻繁に小便に行っていた。特に、夜中に一回は小便に目を覚ますことが多く不便であったが、今は治った。

⑨血圧が高い:
手術の10年以上前から、血圧は高めで、弁膜症と診断された頃には160/90という数値がアメリカにいた時の病院のメディカルレコードに書いてあった。手術の8年前から降圧剤を飲んでいた。しかし、手術の2、3年前には血圧自体は薬を服用しなくても通常値に落ち着いていた。ただ、飲んでいた降圧剤(ナディック錠)が動悸を抑える効果があった為、その為に服用を続けていた。

⑩明日できることは今日やらない気分:
精神的な面なので心臓と関係あるのか分からないが、几帳面な私の性格の割には、特にここ数年、直ぐに出来ることを結構後回しにしていた。

⑪昼寝をする:
会社に行っている時は決して眠くならないのだが、週末家にいると、昼寝をすることが日課になっていた。疲れやすかったためだろうか。術後は昼寝したいという気分に全くならない。

追記: 
弁膜症と診断された当初、自分でも感じる不整脈があった。ホルター心電図による検査結果は、一日に800回ほどの回数だったので、特に治療の必要はありませんという状況であった。一日に不整脈が10,000回を超えると治療対象になると、その当時の先生が言っていた記憶がある。その数年後には、なぜか不整脈は全く発生しなくなった。術前、術後も不整脈の心配は全くなかった。

<=PREV NEXT=>
プロフィール & メール

Author: カムバックハート

カムバックハートブログバナー

カムバックハートこと、鍋島と申します。神奈川県川崎市在住の48歳男性。

2008年12月に僧帽弁形成手術を受けて、第二の人生をスタートさせることができました。

南淵先生と私

南淵先生と私(術後の初外来にて)

フィルムで写真を撮るのが趣味です。(元)心臓病仲間のポートレート写真展の開催に向けて準備中です。詳細はこちらの記事。「創と私」「術前 vs 術後比較ポートレート」「病気を支えた家族と(元)患者のツーショット」「笑顔の(元)心臓病仲間のポートレート」のテーマで作品制作中です。これから心臓手術を受けるかもしれない人達に元気になる期待と勇気を与えたいと思っています。

心臓病仲間の輪に入りたい方や、ブログについてのご質問、お問い合わせのメールはお気軽にこちらへ どうぞ。但し、私は医者やカウンセラーではないので医学的なご質問にはお答えできません。初めての方は簡単なプロフィールをお願い致します。

当ブログ掲載の文章と画像の無断コピー、無断転用を禁止致します。

最新コメント
カテゴリ
月別アーカイブ
COUNTER
ご訪問ありがとうございます:

累計訪問者数:
ブログ開設: 2008年12月
お知らせ
このブログは、私が弁膜症の僧帽弁閉鎖不全症という病気に診断されたところから、入院、手術、退院、その後の生活という流れで時系列に記載しています。2008年12月当時の状況ですので、その後の医学の進歩で内容的に古くなっている部分があるかもしれません。実際の患者にしか分からない心理的な面の記述をできるだけ表現したつもりです。最初から読まれる場合は、「★はじまり ~こちらからご覧下さい~

コルコバード


南淵明宏先生の公式サイトにある「勇患列伝」 その7に出てくる「平松」とは私のことです。

yomiDr.のサイトにある世相にメス 心臓外科医・南淵明宏ブログ にこのブログのことを書いて頂きました。こちらの記事には第三回(元)心臓病仲間の集まりについて書いて頂きました。
リンク
検索フォーム
QRコード
QRコード