(元)心臓病仲間とのお別れ

千住真理子さんのストラディヴァリウス「デュランティ」のバイオリンコンサートを是非生で聴きたいなと以前から思っていながらなかなか実行できず、今年こそはと思いコンサートスケジュールを確認していた丁度その時・・・

千住真理子さんのお母様である、千住文子さんが先月27日に87歳で多臓器不全により亡くなられたと今日知った。千住文子さんと言えば、南淵先生の心臓手術を10年前に受けられた我々と同じ(元)心臓手術仲間。南淵チルドレンとしてお悔やみ申し上げたいと思い、この記事を書いている。

南淵先生の手術を受けられるに至られた経緯や手術前後のご様子は「千住家の命の物語」を読んで頂ければとてもよく理解できる。患者側の心理的な描写が巧みに表現されていて私はとても共感することができた。(この本についての過去の記事はこちらへ

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「千住家の命の物語」

昨日の外来診察の際、南淵先生から思わぬプレゼントを頂いた。

千住文子さんの書かれた新潮社の「千住家の命の物語」という単行本である。

私が書いているこのブログが少なからず大和成和病院の宣伝になっているお礼かと自分勝手に思い込み、有難く一冊頂戴してきた。

執筆者の千住文子さんは、心臓手術を大和成和病院で南淵明宏先生の執刀で受けられた。その体験を、家族との絆を強く意識して見事な文章に表現されている。ちなみに、娘さんの千住真理子さんは、名器ストラディヴァリウス/デュランティを奏でられる有名なプロのヴァイオリニスト。

高齢ゆえ手術をしてくれる医者が見つからず心臓病で夫を亡くされた。その夫より高齢になった文子さんも同じ病気になられたが、子供さん達3人の協力で、医者を見つけ手術から回復まで導く物語。

心臓病患者の心理面の表現に多々共感する部分があった。随所に死生観についても語られているが、私も似たような感覚を得ていたのではなかろうか。いや、どうだろう。私の場合は、過去の記事にも書いたが、心臓を手術するという人生の一大イベントに際して、「死」、若しくは、「生」を、具体的にイメージすることができなかった。こんなことを書くと、「そんなこと考える必要はない、ポジティブな気持ちで手術に立ち向かっていくことが大切」と周りの仲間からアドバイスされかねないことも分かっている。でも、心停止液をかけられて鼓動が止まり、人工心肺で生命を継続するその時までに、やっておかねばならない、もしくは、考えておかねばならない事柄が実は沢山あったのではなかろうかと、術後の今になって思ったりしている。

私は、生命の源である心臓を一旦止められた瞬間、第一の人生が終わり、そして、治療後、再鼓動した時に、第二の人生がスタートしたのだと思っている。幸いにも無事に第二の人生のスタートを切ることができたので、今は何も怖いものが無い、そのような心境でいるのである。

ICUでの存在感について書かれている部分もなるほどそうだったなあと思わせる。「ICUというところは私にとって、もっとも感銘の深い場所であった・・・その時はまだ、自分の身体が他人のもののようだった。ICUからの退室時は花嫁が花道を歩くようで照れる」。まさにその通り。うまい描写だ。

手術ビデオを鑑賞する部分の心境も興味深い。南淵先生から教えて頂いた十牛図(過去記事参照)のごとく、ご家族も含めて、ステップバイステップで次の過程に進んでいかれるその様子が読み取れた。私の場合は、ビデオは自分一人でしか見てないので、機会がくれば、自分の子供たちも一緒に家族で観て、皆で一段階昇りたいと思った。

心臓病患者の心境というのは、ひょっとしたら皆さん、結構、「共通項」が多いのかもしれない。

心臓病患者とその家族にはぜひ読んで頂きたい一冊である。

千住家の命の物語

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Author: カムバックハート

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カムバックハートこと、鍋島と申します。神奈川県川崎市在住の48歳男性。

2008年12月に僧帽弁形成手術を受けて、第二の人生をスタートさせることができました。

南淵先生と私

南淵先生と私(術後の初外来にて)

フィルムで写真を撮るのが趣味です。(元)心臓病仲間のポートレート写真展の開催に向けて準備中です。詳細はこちらの記事。「創と私」「術前 vs 術後比較ポートレート」「病気を支えた家族と(元)患者のツーショット」「笑顔の(元)心臓病仲間のポートレート」のテーマで作品制作中です。これから心臓手術を受けるかもしれない人達に元気になる期待と勇気を与えたいと思っています。

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ブログ開設: 2008年12月
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このブログは、私が弁膜症の僧帽弁閉鎖不全症という病気に診断されたところから、入院、手術、退院、その後の生活という流れで時系列に記載しています。2008年12月当時の状況ですので、その後の医学の進歩で内容的に古くなっている部分があるかもしれません。実際の患者にしか分からない心理的な面の記述をできるだけ表現したつもりです。最初から読まれる場合は、「★はじまり ~こちらからご覧下さい~

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南淵明宏先生の公式サイトにある「勇患列伝」 その7に出てくる「平松」とは私のことです。

yomiDr.のサイトにある世相にメス 心臓外科医・南淵明宏ブログ にこのブログのことを書いて頂きました。こちらの記事には第三回(元)心臓病仲間の集まりについて書いて頂きました。
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