南淵先生からのメール

退院後の状態の連絡と、手術体験記のブログを書いたことを執刀医の南淵先生にメールで伝えたところ、丁寧にお返事を頂いた。ブログに転載可とのことなので、先生のお言葉をこの場で紹介させて頂きたいと思います。

以下、南淵先生からのメールより:

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私のように手術のビデオをホイホイ渡している心臓外科医はいまだ少なく、「そんなもん、患者に渡してどないすんねん!アホちゃうか!どうせ見てもわからんで!」と同業者から馬鹿にされているのが現実だからです。

実際は鍋島様のように、ある段階を経て肯定的に捕らえる方が多いようで、皆さんの勇気ある、かつまた貴重な、そして心臓という神秘を実録したアイテムなわけですから、その価値は表現しきれないほど高いものであるはずです。

今ここで、「ある段階を経て」と表現しましたが、こういった「ビデオなんかどうして患者に渡すの?」といぶかしんでいた患者さん自身が、退院の時に、「やっぱりもらって行こう、でも見ないと思うな」から、退院されて実際に自分で観てしまう、というのはまさに患者さんの精神の中での手術に対するステップバイステップの認識の推移を如実に表しているのだと理解しています。

私は手術を受けるかどうか、迷う患者さんに「迷うことは確固たる決断の前段階。思い切り迷ってください」などと説明しています。ちょっと突き放した言い方ですが、自分で悩んで決めるしかないんだ、ということを自覚して頂きたいと考え、このようにお話しするのですが、その後も、入院、手術、ICU,、また色々な段階で一歩一歩患者さんが身体的に回復していく、と同時に、実は精神的にもしっかりと一段一段上っている現実があるように思います。

まさに禅で言う、十牛図。
一段上ることによって、それまで自分がいた世界とはまったく違う世界に入り込んでしまうのです。HPで検索してみてください。私などいまだに六段階目の騎牛帰家。鍋島さんは間違いなく、八段階目の人牛倶忘は少なくともクリアーされておられると思いますよ。

外来でお待ちしております。

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このメールのお返事は、「数か月、若しくは、数年、観ないだろうと思っていた自分の手術ビデオを、術後一カ月も経たない内にじっくりと鑑賞してしまったこと」(手術から21日目の記事、2009年1月1日参照)に言及している。

十牛図。未熟ものの私ですから、八段階目の人牛倶忘をクリアしているとは到底思えないのですが・・・入院中に心配や世話をかけたことに対するお礼を家族に十分に伝えられなかったり、毎日やろうと思っていたリハビリをさぼったり・・・でも、術前、術後、退院後と、弁膜症という病気に対して、普段の生活や周りの家族に対する考えや態度は、ほんの少しは変化したかもしれません。それが、十牛図における「悟りを得る」ということに例えて、それまでより一段階くらいは登れたのであれば、手術を受けたことを今後肯定的に捉えられそうです。いや、手術を受けたことを否定的に捉える理由は一つもないです。

南淵先生、ありがとうございました。

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Author: カムバックハート

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カムバックハートこと、鍋島と申します。神奈川県川崎市在住の48歳男性。

2008年12月に僧帽弁形成手術を受けて、第二の人生をスタートさせることができました。

南淵先生と私

南淵先生と私(術後の初外来にて)

フィルムで写真を撮るのが趣味です。(元)心臓病仲間のポートレート写真展の開催に向けて準備中です。詳細はこちらの記事。「創と私」「術前 vs 術後比較ポートレート」「病気を支えた家族と(元)患者のツーショット」「笑顔の(元)心臓病仲間のポートレート」のテーマで作品制作中です。これから心臓手術を受けるかもしれない人達に元気になる期待と勇気を与えたいと思っています。

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ブログ開設: 2008年12月
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このブログは、私が弁膜症の僧帽弁閉鎖不全症という病気に診断されたところから、入院、手術、退院、その後の生活という流れで時系列に記載しています。2008年12月当時の状況ですので、その後の医学の進歩で内容的に古くなっている部分があるかもしれません。実際の患者にしか分からない心理的な面の記述をできるだけ表現したつもりです。最初から読まれる場合は、「★はじまり ~こちらからご覧下さい~

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南淵明宏先生の公式サイトにある「勇患列伝」 その7に出てくる「平松」とは私のことです。

yomiDr.のサイトにある世相にメス 心臓外科医・南淵明宏ブログ にこのブログのことを書いて頂きました。こちらの記事には第三回(元)心臓病仲間の集まりについて書いて頂きました。
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