術後十一回目の外来

今日の心エコーの検査予約時間が朝9時だったので、いつも病院に向かう時間より少し早めに家を出る。あいにくの雨。でも、先日、関東圏に降った雪の日よりましかな。通勤ラッシュとは逆方向だったので、電車は大して混まずに済んだ。雨なので今日は駅から病院までタクシーに乗ってもいいかなと思ったが、南林間の駅前ロータリーにタクシーが一台も居なかったので、結局雨の中を大和成和病院まで徒歩で向かう。

朝8時過ぎに着いたので、まだ受付は開始していない。こんなに朝早く来たのは始めて。清掃係の方が、ロビーのカーペットやトイレをきれいに掃除中であった。

時間が来て、受付で、予約票と診察券、保険証を提出。受付嬢曰く、「南淵は退職しましたので、本日は別の医師が診察します」とのこと。予想通りの対応であったので、冷静に了解する。

ロビーに院長交代のお知らせが倉田先生の写真と共に貼られていた。文面は、大和成和病院のホームページに記載されている「院長交代のご挨拶」と同じもの。南淵先生が大和成和病院を退職されて2ヶ月経つが、当日、病院で初めて南淵先生が居なくなったことを知る人はまだ多いようだ。驚きの声を上げている患者さんの家族が数組いた。



南淵先生にまつわる新聞記事や写真などは、一つも壁に貼られていなかった。1階の売店にはいつも南淵先生の著書が販売されていたが、これも無くなっていた。退職されたから当然かもしれないが、少し寂しい。

検査は、いつもの心エコー、レントゲン、採血。朝早かったせいか、診察に呼ばれるのもいつもより早かった。

昨年12月に南淵先生が別の病院に移られた訳だが、私は直ぐに南淵先生の居る病院へ転院しなかった。南淵先生の居ない大和成和病院を一度は見ておきたいと思ったので、確定していた今日の予約は大和成和病院で受けようと決めていたのだ。

その収穫はあったようだ。

術後、わずかな逆流は残っていると、以前より南淵先生から聞いていた。南淵先生はいつも、「これくらいの逆流なら、僕でもありますから・・・正常の範囲です」。聴診しても、「いい音しているから問題なし」と、明るい発言で患者を安心させてくれていた。

今日診てもらった先生は、「既にご存知だと思いますが、あなたの心臓に逆流は今でもあります。このまま定期的に検査は必要ですね。状態が悪くなれば再手術の可能性もあります」とのこと。

「検査結果は前回と変わりません」と最初に仰ったので、今回の検査結果が前回やそれ以前に比べて悪くなった訳ではないらしい。

つまり、同じ検査結果であっても、医者によって、それをどう患者に伝えるかは全く違う可能性があるということ。最近の南淵先生は、勇敢列伝その18でも書かれていたが、心臓手術のリスクなど諸々の事を非常にポジティブに患者に伝えようとされているようだ。一方、今日診て頂いた先生は、あくまでも客観的に医者として判断した診断結果を私にストレートに伝えられたのだと思う。

正直な患者側の感想としては、例えウソであっても、やはりポジティブに状況を伝えてもらう方が、その後の体調が良くなると思う。「病は気から」とは有名なことわざであるが、いつか再手術の可能性ありと言われれば、その日から、またかつてのように、いつかやってくるかもしれない先の日についての不安を少しづつ増大させていかなくてはならないからだ。でも、今日の先生の診断結果を聞けて後悔していないし、逆に良かったと思っている。どちらの先生も間違ったことを言っている訳ではない。あくまでも表現の仕方の違いだと思う。

もし今後、再手術を受けるように宣告されたとしても、最初の手術の時ほどの不安は襲って来ない自信がある。再手術は癒着もあるので、最初の手術より難易度は上がるとしてもだ。

もし、実際にそうなったら何をするか? 少し考えてみた。多分、私は、直ぐに私の自慢の(元)心臓病仲間達に相談すると思う。そして、彼ら彼女らは励ましの言葉をかけてくるだろう。そしたら、ほとんど全ての不安は解消できるはずだ。

唯一の問題は、そのいつかやって来るかもしれない時まで、南淵先生が現役の心臓外科医でいてくれるかどうかである。

次回の外来診察は、東京ハートセンターの南淵先生のところに行く予定である。既に予約も入れた。手続きは至って簡単。東京ハートセンターのホームページに載っている深津さんの電話番号にかけて、アポをお願いするだけ。紹介状も要らないし、検査データも病院間でやり取りしてくれるらしい。

今日の外来診察で、「次回は南淵先生のところに移ろうと思っています」と言ったら、「では、紹介状を用意しておきましょう」と言って、大和成和病院から東京ハートセンターの南淵先生宛の紹介状を用意してくれた。必要ないのかもしれないが、形としてはこれで一応の大和成和病院との別れである。この病院にもう戻ってくることが無いとは言い切れない気持ちはまだある。



さて、今日は病院ロビーで、緑の旅人さんと出会った。彼とは前回の考心会の講演会で顔を合わせている。遠方から新幹線で3ヶ月毎に大和成和病院の外来を受けに来られている。南淵先生にも深津さんにも今日は会えなくて物足りなく会計を済ませようとしていた折に、こうして患者仲間と会えたので嬉しかった。薬局で薬をピックアップした後、緑の旅人さんにまた今度会う日までと別れを告げて、病院を後にした。

病院前の喫茶店「SAKURA」で少し早目の昼食。三つ葉さんから、ここのカレーは、はるか遠方からもわざわざ食べに来る人がいる程美味しいと聞いたので、今日は、カレーのセットを注文した。食後、「とても美味しかったです!」とお店のお姉さんに伝えると、「ありがとうございます。いつもはオムそばめしでしたよね!」とのこと。3ヶ月毎の訪問だけど、自分がいつもオムそばめしを食べていたことを覚えてもらっていたようである。でも、残念。ここで食事するのも今回が最後かも・・・外来には行かなくとも、食事だけの為にここに来るのも悪くないかな?



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新たな術後仲間

今日も一通の嬉しいメールが届いた。タイトルに「ただいま」と書いているのを見て、内容を読まずとも想像がつく。そう、新たに術後仲間となった方からのメールであった。

暫く前に、いよいよ手術を受ける段階であることを医者に宣告されて、不安一杯、ご本人曰く、支離滅裂なメールを私に送ってこられた。ありきたりのアドバイスしかできなかったが、事前に私のブログをよく読んで予習されたので、結果的に何の不安もなく準備万端で手術室に出陣することができたとのこと。術前1日の入院、術後7日での退院という最短コースでの超順調なご回復ぶり・・・

心臓手術の必要性を伝えられて不安一杯になっても、結局のところ、その不安を解消して、精神面の万全な準備を完了させて、手術室に向かわれる方がほとんどだ。少なくとも、術前に私にメールを下さる方は皆さん、例外なく・・・

「術前の不安だった日々が嘘のように爽やか」・・・とのこと。

心臓手術は、他の一般的な手術に比べればはるかにリスクの大きい危険な手術。それがゆえなのか、自分の手術のことだけでなく、皆さんの手術体験を聴いて、いつもドラマを感じてしまう私である。

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プロフィール & メール

Author: カムバックハート

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カムバックハートこと、鍋島と申します。神奈川県川崎市在住の48歳男性。

2008年12月に僧帽弁形成手術を受けて、第二の人生をスタートさせることができました。

南淵先生と私

南淵先生と私(術後の初外来にて)

フィルムで写真を撮るのが趣味です。(元)心臓病仲間のポートレート写真展の開催に向けて準備中です。詳細はこちらの記事。「創と私」「術前 vs 術後比較ポートレート」「病気を支えた家族と(元)患者のツーショット」「笑顔の(元)心臓病仲間のポートレート」のテーマで作品制作中です。これから心臓手術を受けるかもしれない人達に元気になる期待と勇気を与えたいと思っています。

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ブログ開設: 2008年12月
お知らせ
このブログは、私が弁膜症の僧帽弁閉鎖不全症という病気に診断されたところから、入院、手術、退院、その後の生活という流れで時系列に記載しています。2008年12月当時の状況ですので、その後の医学の進歩で内容的に古くなっている部分があるかもしれません。実際の患者にしか分からない心理的な面の記述をできるだけ表現したつもりです。最初から読まれる場合は、「★はじまり ~こちらからご覧下さい~

コルコバード


南淵明宏先生の公式サイトにある「勇患列伝」 その7に出てくる「平松」とは私のことです。

yomiDr.のサイトにある世相にメス 心臓外科医・南淵明宏ブログ にこのブログのことを書いて頂きました。こちらの記事には第三回(元)心臓病仲間の集まりについて書いて頂きました。
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