心臓手術後の心境 その2

心臓手術後の(元)患者の心境について、最近思うことを書いてみたいと思う。

心臓手術を受けた時のこと。人工心肺に乗せられて、心拍数がゼロとなり、心臓の鼓動が停止。血液中の二酸化炭素と酸素の入れ替えと血流を保つことが人工的に行われるその間に、外科医による手術手技を施されて、無事に生還。その時、第一の人生が終わって、第二の人生が始まったのだとこれまでずっと思っていた。事実、そういう風に過去の記事にも書いた。

(元)心臓病仲間の間では、今月は誰々さんの第二の誕生日だ、という情報が交換され、「♪Happy Birthday to Your Heart♪」メールが飛んでいる。私も送るし、毎年私に送ってくれる仲間もいる。「手術日」=「第二の人生の誕生日」は、(元)患者にとっては忘れることのない貴重な記念日なのだ。

術後2年を過ぎた辺りから感じ始めたのは、第一の人生は、当たり前だが、これまで通り普通に続いているのだということ。それは、手術の前後は患者に対する接し方は違っていたとしても、時が経てば、家族や友人、職場の先輩や同僚が、我々患者側が思っているほど実は変わっていない、というか、結局のところ全く変わっていなかったことから悟られる。

そして、我々には、第二の人生がそれと並行して、心臓手術を受けた瞬間から新たに始まったのだ。その二つの人生は交わることも交差することもなく、常に並行して走っている。

第二の人生においては、不羈奔放 (ふきほんぽう)な行動を無意識に取ることができ、また、理性より情動が優先されやすくなるような気がする。そして、左脳よりも右脳が活発に活動している。

我々心臓手術体験者は、その特権として、これら二つの人生の間を、好きな時に好きな方に自由に移動できるのだ。少しずるいのかもしれないが・・・

非常に抽象的な表現なので、理解してもらえないかもしれない。でも、もしかしたら、共感してもらえる方がいるかもしれない。

一人の人間の人生において、「幸運」と「不運」の量は、最終的に同じだと言われている。心臓病になったこと、そして、心臓手術を受けたことは、果たして、「不運」だったのか? それとも「幸運」だったのか?

客観的に判断するならば、「不運」と想像されるが、心臓手術体験者の皆さんは実際のところはどう感じているのだろうか?

私個人的には、決して「不運」と言い切ることができない心境だ。それは、第一の人生と共に、第二の人生をも歩む機会を得ることができたからだ。

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この記事を読まれた、たかしげさんからご感想を頂きました。非常に抽象的で、経験未熟な私が意味も分からず直感で書いた心境に対して、たかしげさんご自身の経験豊かなお気持ちを綴って頂き感激です。ありがとうございます。

たかしげさんのご感想を読まれる方はこちらへ・・・
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「心臓手術後の心境 その2」を読み終えての感想

「第二の人生」と意識して呼ぶのは暮らしの様変わりを感じた時期だと思う。定年退職時以降の暮らしはこれに当たるのが一般的だ。

大きな手術、大きな事件・事故、家族の没などを乗り越えて今までと違った生き方に変った場合当人が心機一転「第二の人生」だと自覚した時でもいいのではないか。超シルバーのジイサマから見れば、男盛り、世帯盛りの男性が“心臓手術”を人生の節目と考えるのは早計ではないだろうか。

ただし、後遺症が残る手術結果、付随的に会社の処遇や家庭に悪い影響などが発生し不遇な暮らしとなるか逆に幸運が舞い込み生活が一変し様変わりすれば生き方を変えるようになるだろう。こんな時「第二の人生」と言えるだろう。

“不羈奔放な行動を無意識に採ることができ理性より情動が優先”はブッチャケタ話で言えば ”好き勝手に気分の向くままに生きる“ だろうか?としたら心臓手術、第二の人生、と結びつかないと思う。具体的な表現がないので理解しにくいが生死の境を乗り越えた手術だったからもう怖いものなしの心境を「不羈奔放な行動を採る」とも解釈できる------

人生には大きな出来事によって生きる姿勢が変ることはしばしば起こる。俗に言う人生のターニングポイントだろう。これは当事者が感じることで個人差があり、他人が善悪のジャッジを含めて入り込む余地はない。

二度の心臓手術でサイボーグ人間となったが、意識的に幸、不幸は感じたことはない。しかし、日常の生活に条件や制約が付いてまわるので不便を感じるし明らかに暮らしの活性が失われた。人生の節目で言えば「第三の人生」に入ったかも知れない。「第一、第二の人生」へのリターンも共有も不可能と自覚し現在の心身の状態に迎合してくらしていかなければならない。

壮年時代1.0の暮らしだったのが術後は0.6~7になった、伴侶のバックアップが不可欠となってしまった。肉体は衰えるのは必然のこと、ならばこの肉体に宿る心を衰えさせないようにしなければならないと思いこんな拙文を叩いてみました. 了          たかしげ

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⇒comment

Secret

No title

私も心臓病になったことが不運とはそれほど感じておりません。
さりとて幸運とも言い難いし…いずれこのことをテーマにして書いてみたいとは思っています。

ただ、私がカムバックハートさんと同じ年齢でかかったとするとそれは20年近く昔のことになるので、術式やリハビリが今ほど進歩していなかったでしょうから、我が身の不運を嘆いたかもしれません。

並行し、自在に乗り移れる第二の人生、いいですね。
私はそれをほとんど感じていないんですよ。
羨ましいというか、私の自覚が足りないだけなのか?

我々の特権?

豆パパさん、

私がこの記事のような心境になったのは、つい最近なので、豆パパさんの術後の心境の
変化はこれからまだまだやってくると思いますよ。肉体的な変化に加えて、精神的な変化をも
味わうことができるのは、我々だけの特権です。どうぞ、楽しみにしていて下さい。

疑問ですが、心臓手術以外の手術を受けられた人達にも、このような心境ってあるものなのでしょうか?
それとも、心臓という命の源のような人体で唯一鼓動する臓器が対象であるが故に、我々は特別な
感情を持つものなのでしょうか?

不安ですが・・・

はじめまして、まさおと申します。47歳です。
ブログ読ませて頂きました。とても参考になりました。

今年の健康診断にて「心雑音」判明(3年前から言われてましたが・・・)
要精密検査、近くの循環器科にて診察
結果は「僧帽弁閉鎖不全症」と言うことでしたが
息切れや疲れ、動悸が激しくなってから手術と言われました。
(現在の症状は、時々動悸がする程度です)
が、紹介状を持って大学附属病院へ行きました。
結果は、放置しておいても何も良いことがないので
早いうちに手術したほうが良いとの事でした。
で!会社の都合とか、タイミングは自分で決めてください・・・とのこと。
いつにしようか悩んでいます。
今は、会社の長期休暇の心配でいっぱいです。
手術の心配はブログを読ませていただき
先生にお任せで良いのかと思っています。
会社の事が心配で休むのに抵抗があります。
ここに投稿することで少しでも不安が無くなればと思い投稿しました。



コメントありがとうございます。

まさおさん、はじめまして。コメントありがとうございます。

僧帽弁の手術を勧められたとのこと、相当ご不安な時期かと思います。

会社を治療の為に休むことについては、其々の事情などあるかと思います。
事務系の仕事であれば、術後早い人であれば2週間~1カ月で職場に復帰
できるようです。私は、入院から職場復帰まで丸々3ヵ月も休みましたが、これ
ははっきり言って休みすぎです(笑) 定年後の雰囲気を事前に味わうには丁度
良かったかもしれませんが・・・

手術に向けて、ご質問などありましたら、遠慮なくご相談下さい。コメントでも
メールでも結構です。私で分からないことも、(元)心臓病仲間達が協力して
くれますので、手術までにはきっと今抱えていらっしゃるご不安は100%解消
できると思いますよ。手術を受けられたほとんどの皆さんがそうでしたから、
間違いありません。

共感しています

初めまして。
と言いますか、一度、メールしたことがある東北(仙台)の者です。
私は弁膜症の術後、もうすぐ3年になります。
1年に2度、誕生日があります!!今年は、3年間、無事過ごせたので、自分にプレゼントしようかと思っています!
病気は良くない事ですが、今は普通に生活できているため、病気になり手術したことにより得られた事(新たな気持ち)に感謝しています。でも、手術前のあの不安といったら、もの凄かったです。
それから、このブログに感謝します。全て共感しています。本当にありがとうございます。

お久しぶりです

みゆさん、こんにちは。

メール探しました。そして見つけました。昨年9月に連絡頂いていましたね。
その時も、「100%共感・同感しています。」って書いてありました。

自分へのプレゼント、いいですね。僕も12月で3歳になりますので、自分に
プレゼントしようか・・・新しいカメラ??

このような記事を書いて、共感してくれる人と、そうじゃない人、両方いると思います。
共感できない、むしろ、反感を感じる、なんて人がいたら話を聞いてみたいものです。(笑)

ありがとうございます

覚えていて下さってありがとうございます。
おそらく、同じ境遇の場合、同じ気持ちかと思います。いや、絶対そうだと思います!
また、今回の地震によって、多くの悲しい出来事があり、今も続いています。多少の語弊はありますが、ごく普通の生活が、実は凄い事と気づかされた人も多いのではと思っています。病気も同じかもしれませんね。

悩んじゃいます

手術のタイミングに悩んでいます。

最初の病院は、心エコー、心電図、レントゲン、問診、健康診断結果、等
診断した結果 経過観察と言ってましたが

大学附属病院は、紹介状を見ただけ(検査なし)で早期手術と言う結果でしたが

経過観察か早期手術か迷っています。

大学附属病院は手術の実績を上げたいの?って思ったりしちゃいます。

別の病院へ行こうか・・・とも思っています。

私的には、「現在のあなたの心臓はこう言う状況なので経過観察で良しとか早期手術が必要」とか判断して欲しいのですが・・・。

検索してみると、逆流の量がグレード3以上なら手術とか?記載してあるのを見ました。

現在の私の心臓は、本当に手術の適用期なのか?不安です。



手術に至るプロセス

まさおさん、

心臓手術のことですが、どのタイミングで手術を受けるにしても、人から勧められる
だけではなくて、ご自身で十分納得した上で、どこの病院のどの医師の手で手術を
受けるんだと、自ら決断されることをお勧めします。その手術に至るプロセスが
術後になってからも大切だったときっと思われることと思います。特に、今のまさお
さんのように、そうしたご不安を抱えていらっしゃるならば尚更です。

そのためには、病気について勉強することも必要ですし、医療機関についての
知識もあれば有効かと思います。

幸いにも今はインターネットでそうした情報をかなり得ることができます。
その上で、既に診てもらった病院や医者に納得がいくまで質問して説明を
求めるか、また、別の病院でそうするか、何かしらの行動をとるしかありません。

まさおさんの治療が良い方向に向かわれることをお祈りしております。

手術のタイミング

コメントありがとうございます。

もう少し 自分なりに勉強したいと思います。

毎日心境が変化してしまします。
昨日は・・・
手術しないと治らない病気なら早期手術が良いと・・・
術後 通院が必要なら近くの医大で手術が良いのかと・・・
家族に対しても、近い病院の方が良いのかと・・・
遠くの有名病院より、地元の大学病院のほうが・・・

いろいろと納得がいくまで考えたいと思います。


手術のタイミングについて

まさおさんへ

手術のタイミングってきっと悩みますよね。
私の場合、悩む間もなく、「え? え”~?!」言っているうちに手術だったので、
そういう意味では悩んではいないので、実はよくわからないのですが。

ですが、外科的治療をしないと治らない病気だと聞いたので(自分でも調べました。)、
手術は仕方のないことと受け止めてはいました。徐々にですけど。

十分納得されて、決断出来るといいですね。

まだ納得できてない

三つ葉葵さま コメントありがとうございます。

私の場合、最初に診察してもらった先生は
いろいろ検査して経過観察後、手術との事でしたが

大学病院の先生は、紹介状の内容と聴診器だけで早期手術との事です。
手術の内容に関しては詳しく説明してくれましたが・・・

「そんなに手術したいの?」って思ってしまいました。

あなたの心臓は現在このような状況なので経過観察とか
早期手術が必要とか判断していただきたいと思っています。

素人の私では タイミングについて判断できません。
早期手術が必要と納得できれば決断は私がしますけどねっ!

隣町のハートクリニックで、今までの経緯を説明して
診断してもらっています。
プロフィール & メール

Author: カムバックハート

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カムバックハートこと、鍋島と申します。神奈川県川崎市在住の48歳男性。

2008年12月に僧帽弁形成手術を受けて、第二の人生をスタートさせることができました。

南淵先生と私

南淵先生と私(術後の初外来にて)

フィルムで写真を撮るのが趣味です。(元)心臓病仲間のポートレート写真展の開催に向けて準備中です。詳細はこちらの記事。「創と私」「術前 vs 術後比較ポートレート」「病気を支えた家族と(元)患者のツーショット」「笑顔の(元)心臓病仲間のポートレート」のテーマで作品制作中です。これから心臓手術を受けるかもしれない人達に元気になる期待と勇気を与えたいと思っています。

心臓病仲間の輪に入りたい方や、ブログについてのご質問、お問い合わせのメールはお気軽にこちらへ どうぞ。但し、私は医者ではないので医学的なご質問にはお答えできません。初めての方は簡単なプロフィールをお願い致します。

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ブログ開設: 2008年12月
お知らせ
南淵明宏先生の公式サイトにある「勇患列伝」 その7に出てくる「平松」とは私のことです。

yomiDr.のサイトにある世相にメス 心臓外科医・南淵明宏ブログ にこのブログのことを書いて頂きました。こちらの記事には第三回(元)心臓病仲間の集まりについて書いて頂きました。

このブログは、私が弁膜症の僧帽弁閉鎖不全症という病気に診断されたところから、入院、手術、退院、その後の生活という流れで時系列に記載しています。2008年12月当時の状況ですので、その後の医学の進歩で内容的に古くなっている部分があるかもしれません。実際の患者にしか分からない心理的な面の記述をできるだけ表現したつもりです。最初から読まれる場合は、「★はじまり ~こちらからご覧下さい~

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