看護とは・・・

前回記事の天野篤先生の著書、、「一途一心、命をつなぐ」について、もうひとつ書き加えておきたいことがあった。それは、第六章の中にある「”陰の看護部長”です」という部分について。

天野先生は、看護の仕事の核心は「思いやり」だと仰っている。患者の痒いところに手が届く看護、それを先回りして、そろそろ痒くなりそうだという時を見計らって掻く準備をしている。そういう看護だそうだ。

これを読んだ時、私の入院中にお世話になった二人の看護師さんのことを想い出した。一人は心臓手術直後のICUでお世話になったIさんと、もう一人は、昨年11月の鼠径ヘルニア手術後HCUでお世話になった看護師さんのお二人だ。

Iさんはひたすら明るいその性格で、手術直後の患者の気持ちをとにかく明るくしてくれる。麻酔覚醒後間もないにも関わらず、ICU 滞在中の記憶がICU看護師さんのケアの様子と共に今でもかなり鮮明に脳裏に蘇ってくるのは、その瞬間が心地良いものであったからに違いない。心地良くないこと、嫌なことはさっさと忘れてしまう私の性格だからそれは間違いない。患者に聞かれていることを分かっていてか分からずなのか、Iさんと周りの病院スタッフとの専門的な会話はこれまた患者の気持ちを実は励ましてくれていたのは医療関係者にとっては意外な事実だと思う。

昨年の鼠径ヘルニア手術でHCUに滞在したその日のこと。術後、麻酔から徐々に覚めてきて、創の痛みがジワジワと痛み出しはじめた。暫く我慢していたがそろそろ辛くなってきたその時、「そろそろ痛み止めを入れましょうか?」とすかさず聞いてくれた看護師さん。炎症反応で熱が出始めたときにも「これを頭の下に入れると気持ちいいですよ」とアイスノンを持ってきてくれた。それから、手術室を出てから寝たきりだったので背中が痛みだしてきたその時、これまた「そろそろベッドを少し上げてみましょうか?」と聞いてくれた。全て、ナースコールをかける直前の出来事だ。「はい」と答えたものの、切って縫ったばかりの創が気になり僅かなベッドの傾きさえもまだとても神経質になっていた。それを一気に電動ベッドの角度をあげられたりしたらこりゃ辛いぞと一瞬不安がよぎった。だが、その私の不安は全てお見通しであったようだ。言葉では表現しにくいのだが、生まれたばかりの赤ん坊をあやすかの如く、たかが電動ベッドの角度をあげるだけの些細なことではあるが、その看護師さんは患者の記憶に強く残るような完璧な対応(看護)を行ったのだ。その方は、決してベテラン級の看護師さんの年齢には見えない。かなり若い方であった。

「そうした看護のレベルに達するには相当の努力が必要なのは言うまでもない」と天野先生の本に書かれている。

患者が望んでいること、これから望むであろうことを事前に察知できる、そして、絶妙なタイミングで行動する。またその動作スピードも適切。看護の世界にも、経験と努力の積み重ねで高められる質と、生まれながら持っている看護のセンスのようなものもあるのかもしれない。

自分が診てもらう病院や手術をしてもらう執刀医を患者が選ぶのと同じように、もし術後のケアをしてくれる看護師を指名できるならば・・・「今回の心臓手術の後は、○○看護師さんにICUでのケアをお願いします」というように。本当に患者を思いやってくれる質の高い看護を受けられるなら追加料金を払ってもよいかもしれない。医療における患者への思いやり。それは、患者にとっては例え病気の治療による苦痛があろうとも、結果として入院中に心地の良い時間を過ごせたと、あとから想い出させてくれるような看護のことなのだと思う。

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天野先生の著書 ~ 私の実体験

カムバックハートさん こんにちは

天野先生の著書の内容は 心臓手術を体験した私たちだからこそ
心から共感できる、実感できる場面が 随所に多々ありましたね。
私は 本のページが 棒線だらけになってしまいました (笑)

今回 カムバックハートさんは 実体験から 「看護」 のことを
書かれています。

著書の中で実感する場面は 本当にいくつもありますが
特にひとつあげるなら
私の場合、 自分の実体験として 深く共感するのが
第3章 医師になりきる、患者になりきる 「夜明けの回診」 です。


その中で 要約すると 天野先生は次のように書かれています。

● 手術が入ったり 他の用事があったりして 通常の回診が
できない時、 時間があいた 「ついで」 に病室を回ったりするが
患者さんはとても喜んでくれる。 ~ 「ついで」 であろうと何であろうと
自ら赴いて患者さんに会いたいと思っている。
一番の目的は患者さんを励ましたいからだ。
回復へのもうひと押しを手伝ってあげたい。
~ 患者さんの心理は 常に揺れ動いている。 医師が自分のことを
いつも気にかけてくれている、そう思えることは 大きな安心感になる。
~ 医師のそういったふるまいは 回復途上にある患者さんを
「その気」 にさせる一種のパフォーマンスであり演出でもあるが
その効用をじゅうぶんわかっているから できるだけ病室を訪れて
患者さんに会いたいと思っている ●


私の執刀医A先生も 手術後 通常の回診以外に 予告なく突然に
訪ねて下さることが何度もあり いつも嬉しく思いました。

術後2日め 夜8時すぎ トイレに入っている時に 突然来られて 私は
まだまだ体が不自由で ゆっくりしか動けないので あわててしまい
トイレです、というと 時間をおいてまた来て下さいました。
「明日から出張でいないので しばらく顔を見られないから」 と
言われると 患者として ホントに感激したものです。

他にも シャワー室から出たとたんに来られたりとか いつも驚かされましたが その度 嬉しくて安心でき 気持ちが励まされました。

A先生も 「なかなか病室を回れないけど できるだけ患者さんに
会いたいと思っている」 と おっしゃっていました。


私にとっては 本の中で 天野先生と A先生が重なり合う場面が
いくつもあり 深く心に響く一冊でした。

天野先生の本

カワセミさん、コメントありがとうございます。

そうですね、この本は心臓手術を経験した人が読むと、随所に共感できるところがありますね。

著者は医者だけど、患者の気持ちを実に良く理解されているし、我々患者がこの本を読むと心臓外科医のことをより身近に感じたり、また知って驚くこと、尊敬すること、学ぶべきことが幾つもあって、ほんと中身の濃い本だと思いました。

カワセミさんと来月、お会いできますね。楽しみです。
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Author: カムバックハート

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カムバックハートこと、鍋島と申します。神奈川県川崎市在住の48歳男性。

2008年12月に僧帽弁形成手術を受けて、第二の人生をスタートさせることができました。

南淵先生と私

南淵先生と私(術後の初外来にて)

フィルムで写真を撮るのが趣味です。(元)心臓病仲間のポートレート写真展の開催に向けて準備中です。詳細はこちらの記事。「創と私」「術前 vs 術後比較ポートレート」「病気を支えた家族と(元)患者のツーショット」「笑顔の(元)心臓病仲間のポートレート」のテーマで作品制作中です。これから心臓手術を受けるかもしれない人達に元気になる期待と勇気を与えたいと思っています。

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ブログ開設: 2008年12月
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南淵明宏先生の公式サイトにある「勇患列伝」 その7に出てくる「平松」とは私のことです。

yomiDr.のサイトにある世相にメス 心臓外科医・南淵明宏ブログ にこのブログのことを書いて頂きました。こちらの記事には第三回(元)心臓病仲間の集まりについて書いて頂きました。

このブログは、私が弁膜症の僧帽弁閉鎖不全症という病気に診断されたところから、入院、手術、退院、その後の生活という流れで時系列に記載しています。2008年12月当時の状況ですので、その後の医学の進歩で内容的に古くなっている部分があるかもしれません。実際の患者にしか分からない心理的な面の記述をできるだけ表現したつもりです。最初から読まれる場合は、「★はじまり ~こちらからご覧下さい~

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