術後三日目

「二階、デイルーム、ドクターハート!」

緊張感のある館内アナウンスが流れた。手術翌日の午後のことである。

見舞客や手術中の家族が待機するデイルームで、入院患者の一人が床に倒れ込んだらしい。アナウンスを聞いて、医者と看護師が廊下を全速力で走って10人以上集まってきた。幸い、直ぐに処置を施され問題はなかったとのこと。

別の日にはこんなことがあった。夜中の2時頃、ドシン!というものすごい物音が。あわてて看護師が駆け寄る。術後の患者さんが、トイレでめまいか何かで倒れたようだ。こちらも、幸い、その場で立ち上がってベッドまで戻られたので大事に至らなかった。

ちょっと緊張感を感じた病院での出来事であった。体の無理は禁物である。

術後、熱は少し続いているが、胸の創の痛みは不思議とほとんど感じない。痛み止めの錠剤(ロキソニン60mg)を飲んでいるからかもしれないが、本当に痛みによる苦痛というのは無くて拍子抜けしてしまった。胸骨を20cm以上も人工的に骨折しているというのに、昨年、自宅の階段を踏み外して足のくるぶしの骨に僅かなヒビが入った時の方がよっぽど痛かった。創の痛みは、若ければ若いほど感じるらしく、「高校生なんかは泣いちゃってますよ」って、看護師さんが言っていた。ということは、私はもうそんなに若くないってこと!?

術後は気管に入れてあった管の影響で、咳やたんが出やすくなる。その際に胸の骨に痛みを感じるとのこと。しかし、私の場合は、咳もたんもほとんどでなかった。ちなみに、喫煙をされていた方はこの点では大変らしい。

また、人によっては、術後に肺に水が貯まる場合がある。もし水が貯まれば、局部麻酔をして、肺に管を差し込み、水を体外に強制的に排出するらしい。隣のベッドの人がこの処置をやっていて、先生の声が聞こえてきた。管を挿すのは案外簡単っぽく、「はい、もう500ml出ましたよ。まだ、ジャンジャン出ますからね」なんて感じでやっていた。これも私は免れた。

心臓へ負荷を掛けないようにするために、水分の制限を受けるという話がネットに経験談としてよく書かれている。だが、私の場合は何も制限がなかった。別の弁膜症の患者さんは、当初1000cc、後に1500ccとか制限されて少し辛そうにされていた。純粋な飲み水、お茶だけではなくて、食事に含まれる水分(味噌汁やヨーグルトなど)もカウントされるので、本当に飲みたい時に飲めないらしい。夏場はかなり辛いかも。

今回の私の場合、幸いなことに、苦しみらしい苦しみはほとんどなかった。感謝せねば。

今日の検査は、胸部レントゲンのみ。これは、楽。いつも通り、正面と横からの2枚撮影。

午後、病室をベッドごと移動。ナースステーション前の特等室からちょっと脇の部屋へ。重点観察患者のリストから外れたか!?

この日の夕食から常食に。友人に、手術は無事終わり、順調に回復している旨のメールを打つ。

術後、夜、よく眠れる人と、眠れない人に分かれるらしい。私は後者であった。眠剤(マイスリー5mg)を飲んで床に就く。眠剤を飲んで目を閉じると、アートっぽい幻想がまぶたの裏に広がる。そして、知らない間に眠ってしまった。4,5時間はぐっすり眠れるのだが、その後、急に眼が冴えてしまう・・・

幻想の世界幻想の世界ってこんか感じか??? (TC-1 + Tri-X 400)

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Author: カムバックハート

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カムバックハートこと、鍋島と申します。神奈川県川崎市在住の48歳男性。

2008年12月に僧帽弁形成手術を受けて、第二の人生をスタートさせることができました。

南淵先生と私

南淵先生と私(術後の初外来にて)

フィルムで写真を撮るのが趣味です。(元)心臓病仲間のポートレート写真展の開催に向けて準備中です。詳細はこちらの記事。「創と私」「術前 vs 術後比較ポートレート」「病気を支えた家族と(元)患者のツーショット」「笑顔の(元)心臓病仲間のポートレート」のテーマで作品制作中です。これから心臓手術を受けるかもしれない人達に元気になる期待と勇気を与えたいと思っています。

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ブログ開設: 2008年12月
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このブログは、私が弁膜症の僧帽弁閉鎖不全症という病気に診断されたところから、入院、手術、退院、その後の生活という流れで時系列に記載しています。2008年12月当時の状況ですので、その後の医学の進歩で内容的に古くなっている部分があるかもしれません。実際の患者にしか分からない心理的な面の記述をできるだけ表現したつもりです。最初から読まれる場合は、「★はじまり ~こちらからご覧下さい~

コルコバード


南淵明宏先生の公式サイトにある「勇患列伝」 その7に出てくる「平松」とは私のことです。

yomiDr.のサイトにある世相にメス 心臓外科医・南淵明宏ブログ にこのブログのことを書いて頂きました。こちらの記事には第三回(元)心臓病仲間の集まりについて書いて頂きました。
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