たかしげさんの感想文

たかしげさんから届きました「一途一心 命をつなぐ」の感想文です。

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    「一途一心 命をつなぐ」 を読んで        天野 篤 教授 著

 天皇陛下の冠動脈バイパス手術予定と内容のTV見ていた。高齢であり同年齢であるが手術内容は大きく違っていた。オフポンプ手術では心臓が緩やかだが脈動しているので手元が狂うだろう。冠動脈は太い血管で約4㎜と聞く、ここにグラフト血管(細いバイパス血管)を縫いつける。縫い目が粗く不完全だと体内に出血して命とりになりかねない。執刀医は精神統一と手先の器用さが勝負で匠職人のように精緻なスキルを備えていなければならない。ここに一途一心の精神統一が必要なのだろう。

自分の手術が成功し二年が経過して「一途一心 命をつなぐ」を求め夢中で読んだ。
この本には天皇陛下の手術の内容はほとんど記述されてない。教授の謙虚さがうかがえる。総じて平易な文章で読み易く気負う個所は見当たらない。随所に命をつなぐ心意気が感じられた。オフポンプでもいくら時間がかかろうとも治さなければ死に結び付く。胸を閉じ縫合して終わりでなく、平常の行動ができるよう回復しなければ本当の成功、治癒とは云えない。この覚悟に胸を打たれる。術中予期せぬ患部の異常に突きあたる。その難題を即座に判断してスタッフに指示し処置する素早いレスポンスと心構えや能力に神技を感じる。術中にチームスタッフが才知とスキルを結集したチームワークの大切さを知った。自分の手術中の無の世界がこの本で補われた感がする。
病院内の具体的な改革までも気を遣われている。後に続く若い医師に厳しく育てることで伝承する義務感で腐心している情熱が伝わってきた。

視点を置き換えると他の分野でも見倣うべき教訓と思う。ものつくりの分野で戦後日本の発展を担ってきた基幹産業では石油精製・石油化学・発電・原子力・新幹線etc.がある。これらのプラントは目的やものを造り出すために命があるが如き脈動し、活動している。プラント配管内は血液のように流体が流れ、バルブは開閉し制御され、ポンプは動き、電気は流れ、神経のように計装機器は作動している。命ある身体のようだ。
命ある身体のようなプラントを設計・製造し据え付け稼働させる技術。運転・管理さらに保守・点検と一連の作業のエンジニアリングスキル。そしてこれらに携わる技術者を育成、伝承することは医術の分野と酷似している。
この分野でも著書題名を「一途一心 命を造る」に置き換えても過言ではないだろう。
「一途一心命をつなぐ」には仕事論、リーダー論までもが熱い思いで語られている。
プラント技術者のバイブルとしても一読に値する良書と思いちょっと堅い読後感だが感服した。  了     

        たかしげ 2013-3-19

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カムバックハートこと、鍋島と申します。神奈川県川崎市在住の49歳男性。

2008年12月に僧帽弁形成手術を受けて、第二の人生をスタートさせることができました。

南淵先生と私

南淵先生と私(術後の初外来にて)

フィルムで写真を撮るのが趣味です。(元)心臓病仲間のポートレート写真展の開催に向けて準備中です。詳細はこちらの記事。「創と私」「術前 vs 術後比較ポートレート」「病気を支えた家族と(元)患者のツーショット」「笑顔の(元)心臓病仲間のポートレート」のテーマで作品制作中です。これから心臓手術を受けるかもしれない人達に元気になる期待と勇気を与えたいと思っています。

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