術後五日目

ハートハガーという術後の胸の痛みを和らげるアイテムがある。大和成和病院の売店で購入できる。15750円(税込)と少々高い。(確定申告の医療費控除の対象にできるので、領収書を保管しておきましょう。)

このハートハガーを使うと、胸骨正中切開によって人工的に骨折させられた状態の胸骨が、体を動かしたり、咳をしたりする時に微妙に動いて痛むのを和らげる効果がある。そのタイミングの時に、片手でハンドルを引き寄せて、胸を締めるのだ。ICUで取りつけて、退院後1、2週間目まで使用する。但し、普段から胸を締め付けると肺が圧迫されてよくないので、普段は軽く付けているだけ。あくまでも、大きく動いたり咳やたんを出す時にだけ締めるとのこと。

入院中の術前患者と術後患者の見分け方は簡単である。このハートハガー付けているか否か。ハートハガーを付けはじめて、ようやくワンステップ進んで、自分も術後患者の仲間入りをしたんだなと、何故か誇らしげになる。

その後入院された患者さんから聞いた話では、最近は大和成和病院でハートハガーはあまり使われていないそうだ。無くてもなんとかなるものだし、別の商品でも代用はできると思う。でも、個人的には、このハートハガーにはかなり助けられたと思う。

ハートハガー

ICU退室後、体には、無線式の心電図が取り付けてあった。ナースステーションに電波で情報を送信して、もし何か異常があればすぐに看護師さんが容態をキャッチできる仕組みだ。この心電図もこの日とれた。もう、私の体には緊急事態は起こらないと判断されたのだろう。

この日、それまで使っていた電動ベッド(ボタンひとつで背中側が昇降する便利なやつ)も取り上げられてしまった。普通のベッドへ舞い戻り。術後の胸の創があるので、ベッドに横になったり起き上がったりする動作は結構大変なのだ。まあ、これもリハビリの為の措置なのだろう。横向きになって、肘をうまく使って、なんとか頑張る。

心エコーと胸部レントゲンの検査あり。心エコー検査でも、検査室で心臓側を下にしてベッドに横たわらなくてはならない。検査自体は楽なのだが、術後の体でベッドに横たわる動作が辛~い。

午後、胸の創部分に張ってあった透明のテープを剥がして、消毒。そして、冷たいスプレーでコーティング。溶けて無くなる糸を使っているようなので、抜糸の必要はない。自分の創をこの時初めてマジマジと眺めたが、カサブタ状態のギザギザ、思ったより創の長さが長いと思った。(後日測ったら21cmだった。)タコスさんの心臓手術体験のブログ(閉鎖済)では僅か9cmと書かれていたので、少々ショック。タコスさんの場合は先生の女性に対する創の配慮が大きくあったのかもしれませんね。それと、胸骨の大きさにも影響するんですかね。まあ、創も病気治療の勲章という訳で・・・。

今日のリハビリは、三階のスポーツジム風リハビリ室で、脚の運動と自転車漕ぎを10分間。運動中の心電図と脈が把握管理されている。うっすらと汗を掻くくらいの運動は気持ちが良い。実際、心臓手術から数日でこんなに運動ができるなんて少々驚き。運動できる人はちゃんとした管理下であれば、できるだけ体を動かした方が合併症を防いだり、回復を早めたりする効果があるそうだ。血圧は運動前と後では、予想に反して、運動後の方が下がる。血管が運動によって開く為らしい。手術前、私は会社へ片道約4km、50分間を徒歩通勤していた。先生からは、医者としては勧められない術前運動だと言われていたのだが・・・実際、ある日突然心不全や不整脈が起きてもおかしくなかったのかもしれない。でも、その運動のお蔭で、術後の体力回復が驚異的に早かったのではなかろうかとリハビリの先生が言っていた。

リハビリ室での運動を終えて、病室まで階段を歩いていると、南淵先生とすれ違った。「状態はどうですか?」と聞かれ、「バッチリ回復しています。本当にありがとうございます」と答える。それにしても、南淵先生、体、大きいなぁ。

ちなみに、術後、入院中に南淵先生と顔を合わせたのはこの時、一回だけ。病室では一回も会わず終いであった。

飲み薬がこの日から自己管理になる。それまでは、朝昼晩の薬を看護師さんが分けて管理してくれていたのだ。

術後、飲んでいる薬は次の通り。朝食後服薬。

・ワーファリン 当初3~4mg、後に、1.5mgに安定 血栓ができるのを防ぐ
・バイアスピリン 100mg 血流を良くし血栓ができるのを防ぐ
・テノーミン 25mg 心臓の負担を軽くし、脈を整えたり血圧を下げたりする
・タケプロンカプセル 15mg 胃酸の分泌を抑えて、食道炎等を改善する
・ラシックス 20mg 尿を出して血圧を下げたり、むくみを取る
・ロキソニン 60mg 炎症によるはれや痛みを和らげる(術後2週間くらいまで)

薬

だんだん食欲が湧いてきて、食事時間が待ち遠しい。食事前には腹がグ~と鳴っている。パン食が週2回しかないので、パンが恋しい。あと、塩分が多くてカロリーが高いのは分かっているが、ピザやカレー、トンカツに唐揚げがむしょうに食べたくなってよだれが出てきた。

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Author: カムバックハート

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カムバックハートこと、鍋島と申します。神奈川県川崎市在住の48歳男性。

2008年12月に僧帽弁形成手術を受けて、第二の人生をスタートさせることができました。

南淵先生と私

南淵先生と私(術後の初外来にて)

フィルムで写真を撮るのが趣味です。(元)心臓病仲間のポートレート写真展の開催に向けて準備中です。詳細はこちらの記事。「創と私」「術前 vs 術後比較ポートレート」「病気を支えた家族と(元)患者のツーショット」「笑顔の(元)心臓病仲間のポートレート」のテーマで作品制作中です。これから心臓手術を受けるかもしれない人達に元気になる期待と勇気を与えたいと思っています。

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南淵明宏先生の公式サイトにある「勇患列伝」 その7に出てくる「平松」とは私のことです。

yomiDr.のサイトにある世相にメス 心臓外科医・南淵明宏ブログ にこのブログのことを書いて頂きました。こちらの記事には第三回(元)心臓病仲間の集まりについて書いて頂きました。
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