考心会 平成26年度講演会

昨年の秋の考心会は大変な雨。今日も台風19号接近により荒れた天気が予想された。帰りの電車が止まったら嫌だなと思っても、それが考心会を欠席する理由には更々ならない。

ということで、相模大野で開催された考心会。そこで行われた3つの講演はどれも興味深く、今回もまた考心会に参加して良かったなと感じることができた一日だった。

①南淵先生の「近況報告あれこれ」
②瑞慶覧(ずけらん)貴子先生の「不整脈について」
③倉田篤先生の「大和成和病院」

南淵先生からは最新の著書「あるがままに生きる」を参加者全員にプレゼントして頂いた。東大教授の矢作直樹教授との対談が収録されているが、そこで使われている写真が先生にはお気に召さなかった模様。うん、確かに普段の先生の容姿とちょっと見栄えが違うような気がする。講演の内容は、いつものように最近のTV出演や取材の裏話から始まり、患者に心を開かせて論理的に理解をしてもらうことの難しさ、結局は、オーラや精神的、スピリチュアルな感覚や何かで患者は自分の手術や医者を決めたりするのだというお話。また、他人の目で自分を視る、自分を客観視するというエンパシーのお話。それから、昨日まで行かれていたイタリアでの僧帽弁手術見学と学会参加の様子など。いつもながら興味深い話の数々。イタリアの学会でのテーマの一つは、TAVIというカテーテルで大動脈弁を植え付ける新しい手術。開胸が難しい高齢の方などに有効な手術とのことだが、新しいものにはリスクが当然ある。医療の諸認可が比較的早く降りる欧州で新しい技術が試みられることが多いらしい。このTAVI、イタリアで1,200例ほどの症例数らしいが、一昨年から昨年にかけて数がそれほど伸びていなかったとのこと。また、リスクと同時にコストの問題もある。人工弁が1ヶ942,000円に対してTAVIは2,460,000円なのだそうだ。しっかり開胸して、心臓を目視した上で丁寧に糸で人工弁を縫って植えつけてもらう方が血液の漏れなどの不具合の点においては患者として確実に安心できる。TAVIについては、倉田先生のお話でも取り上げられていた。



第二部は、沖縄にある大浜第一病院の瑞慶覧(ずけらん)貴子先生の不整脈についてのお話。期外収縮、頻脈、徐脈の3つのタイプの不整脈について、その種類、危険度、治療方法などを丁寧に分かり易く説明して頂いた。普段から自分の脈を測る練習をしておくことが大事。①1分間に脈を何回打っているか、②脈と脈の間隔が一定かどうか、③脈の強弱があるかどうか、がポイントとのこと。気になる不整脈が発生したら遠慮せずすぐに病院に行くこと。但し、例え救急車で患者が運ばれてきても、病院に着いた時には不整脈を再現しないことが多いらしい。なので、普段から自分の脈を知った上で、どのような異常が発生したのか医者に適切に説明できると診断が容易になるとのこと。会社の健康診断で、私の心電図の項目には完全右脚ブロックという状況が毎年記されるのだが、それがどういう現象なのかも理解することができた。

最後は、大和成和病院、病院長の倉田篤先生のお話。倉田先生が考心会に登場されたのは久しぶり。数年通っている私も倉田先生を考心会で拝見したのは初めて。私が大和成和病院での心臓手術で入院していた時、ICU付近で朝早くから夜遅くまで一番よく見かけた先生が倉田先生だった。残念ながら個人的にお話する機会はなかったのだが。南淵先生が大和成和病院を退職されて約4年。南淵先生が居なくなった後、大和成和病院が何に向かってどのように活動しているのかというお話だった。とにかくより地域と連携した医療を提供するという方向性。人工弁などの人工物を埋め込んだ患者を恒久的継続的に管理可能にする施設。手術したら終わりではなくて、いつまでも面倒診ますよ、診るための体制を継続しますよという姿勢が聴けて嬉しかった。昨今の医療制度の変更により病院経営の苦しさも感じられた中、HCUの増設であったり、新しい技術への投資であったり、謙虚な中にも革新を求めていくような方向性が聞き取られた。ちなみに、生体弁の正常稼働率は、術後10年で90%、15年で75%、20年で50%、25年で10%というレポートがあるそうだ。そうした方々の弁の再手術に南淵先生の講演で話が出てきたTAVIというカテーテルによる人工弁の埋め込みが可能になれば有り難い。但し、先進の欧州で症例が昨年は伸びなかったという状況は一つの大事なポイント。欧州の状況を教訓にして日本の医療で何ができるのか考えるのが大事。また、今後の循環器医療は、外科、内科、放射線科、麻酔科が協業して結果を出していく方向になりそうだとのこと。大和成和病院に新設されたハイブリッド手術室もそうしたことを狙っているらしい。そうそう、その新手術室の新設で2階病棟に3つあった特別個室は無くなったとのこと。また同じく2階の大部屋3つもHCUの増設で模様替えされたらしい。私が入院していた時の大和成和病院2階病棟の様子とはかなり変化したようだ。倉田先生の患者さんはどの方も例外なく倉田先生を信頼している。どうしてそうなのか、今日の倉田先生のお話を聞いて納得できた。倉田先生の言葉から患者に信頼感を与える雰囲気が多分に感じられたからだ。

倉田先生のお話が終わった後、南淵先生が再びマイクを手に。4年前、突然退職された大和成和病院に対して思うところや、倉田先生についての言葉の数々。ちょっとした感動を感じる講演会であった。


南淵先生と倉田先生のツーショット

ちなみに、深津さんは台風の影響で奄美大島から飛行機が間に合わず会場に辿り着けなかったとのこと。ICU看護師のIさんはいつものように明るくお元気でした。


今日参加していた(元)心臓病仲間達

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Author: カムバックハート

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カムバックハートこと、鍋島と申します。神奈川県川崎市在住の49歳男性。

2008年12月に僧帽弁形成手術を受けて、第二の人生をスタートさせることができました。

南淵先生と私

南淵先生と私(術後の初外来にて)

フィルムで写真を撮るのが趣味です。(元)心臓病仲間のポートレート写真展の開催に向けて準備中です。詳細はこちらの記事。「創と私」「術前 vs 術後比較ポートレート」「病気を支えた家族と(元)患者のツーショット」「笑顔の(元)心臓病仲間のポートレート」のテーマで作品制作中です。これから心臓手術を受けるかもしれない人達に元気になる期待と勇気を与えたいと思っています。

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ブログ開設: 2008年12月
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このブログは、私が弁膜症の僧帽弁閉鎖不全症という病気に診断されたところから、入院、手術、退院、その後の生活という流れで時系列に記載しています。2008年12月当時の状況ですので、その後の医学の進歩で内容的に古くなっている部分があるかもしれません。実際の患者にしか分からない心理的な面の記述をできるだけ表現したつもりです。最初から読まれる場合は、「★はじまり ~こちらからご覧下さい~

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南淵明宏先生の公式サイトにある「勇患列伝」 その7に出てくる「平松」とは私のことです。

yomiDr.のサイトにある世相にメス 心臓外科医・南淵明宏ブログ にこのブログのことを書いて頂きました。こちらの記事には第三回(元)心臓病仲間の集まりについて書いて頂きました。
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