たかしげさんからの投稿  「クスリはリスク」 

たかしげさんからの投稿です。自らの心臓病に関する経験など、みんなに発信したい文章を送って頂けましたら本ブログに転載させて頂きます。

カムバックハート

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「クスリはリスク」        たかしげ

現代ではクスリはリスクと言われるように、昔からも薬は毒と言われていました。医者の世話にならず薬ものまず一生過ごせるとは誰もが思っていないでしょう。人によっては更にサプリメントを探し求めて健康を維持しようと努力し症状に合うものが手に入れば安心します。 私は小学生の頃に肺門リンパ腺炎を患った。太平洋戦争以前だから何の薬やどんな注射を打たれて治ったのか何も分からない。
会社に勤めるようになり、あちこち出張するようになると行く先々の水や食べ物が身体に合わないだろうからと、おふくろに勧められて、書類や図面の入ったバックの片隅に「クレオソート丸」を忘れずに忍ばせた。ラッパのマークがついた容器で「正露丸」と云われ、私の世代はこの名前の方が親しみやすい。戦争が激しくなる前には、わが家に越中富山の薬が常備してあったのを覚えている。柳行李を背負った薬の行商人が年に一、二度訪問して使用した分の代価を清算し薬を補充していた。子供が顔を出すと必ず紙風船をくれた。紙風船欲しさに外で遊んでいても薬売りのおじさんの姿を目聡く見つけ家に跳んで帰った。
聞いたことだが、日露戦争の頃の兵隊さんは日本から遠く離れた大陸でも体調を壊さずにロシアと闘えるために「征露丸」を携行した。当時は出征兵士やロシアを征するという意味で“征露丸”と名付けられたようだ。戦後の日本では、連合国側のソビエトに対しての「征露丸」は好ましくないとのことから「正」に改めたらしい。

先人は体験から薬についていろいろな諺を残している。 “毒薬変じて薬となる” “薬は身の毒” “薬無ければ病なし” (薬と病気とは相対的なもので、薬がないと、それに応じる病気もない) “良薬口に苦し” (良く効く薬が苦いように、身のためになる忠告は素直に受け入れにくい) “薬より看病” (病気に は、薬をあれこれ飲むよりも、心のこもった看病のほうが有効である) “薬九層倍” (暴利をむさぼるたとえ。薬の売値は原価よりはるかに高く、儲けが大きい原価の九倍もするという意味)

 丈夫、元気で頑張って四巡目の干支が目前になった頃、心臓の異状に気付き弁膜症と診断された。機械式人工弁に置換され血栓が出来易くなるからと血液抗凝固薬を服用するよう処方された。ワーファリンという薬で血液をサラサラにして血栓が出来にくくすると言われた。このワーファリンは一般商品名で、正式名はワルファリンと云うらしい。発音から良いイメージは持てなかった。ビタミンKを多く含む食品の納豆・クロレラなどを食べると ワーファリンの効果が薄れるから食べないよう厳しく注意された。「納豆は大好きなのに……」と残念に思いながら以後は一切食べない。リタイアする少し前に大動脈弁を機械式人工弁に置換手術したから更に血栓が出来易くなった。命が途絶えるまでワーファリンを服用しなければならない。若し出血したら止血するのが難しい。怪我をするようなことは極力避けるよう厳しく忠告されたが、リタイア後は暇があり過ぎる。有り余る時間を趣味の木彫り彫刻に没頭する。手袋をして怪我をしないよう万全な準備をするが、打撲による内出血には注意力が疎かになっていた。ワーファリン禍の伏兵だったかもしれない。脛(すね)など肉が少ないところは青あざで済むが、太もも、ふくらはぎや上腕部など筋肉の部分をうっかり打撲し内出血したら血液が広範囲に広がり激痛に苦しむ、現役中に太ももを机の角にぶつけて見るみるうちに内出血してどす黒く青あざとなり血液が足首まで下りて痛みが和らぐまで激痛で苦しんだ。当然休業だ。歩いて出勤できるまでに3か月余りかかった。こんな辛い体験は二度としたくない。まさにこの薬は悪(ワル)ファリンだ。

ところがワーファリンは、医薬品としてだけでなく、殺鼠剤として使われることがある。
ワーファリンを摂取したネズミは、網膜内の内出血で視力低下するため明るいところに出てくるといわれる。最終的には腹腔内の内出血で死亡するらしい。クスリには副作用もあるし、功罪の二面を持ち合わせている。ワーファリンを服用しだすと血液の凝固度を定期的に検査して適正値を把握する必要がある。それはPT-INR値で、2~3でコントロールされるのが適正だ。昨年から今年にかけてのPT-INR値は2.34~2.50と推移している。タブー視されているビタミンKを多く含む食品は納豆類で、好物でも絶対に食べない。納豆以外でもクロレラ、海苔類、にも多く含まれているが常食しないし、食べても少・微量なので神経質に考えない。アルコール類は医師に問えば「あまり良くない」とか「飲まないに越したことはない」と云われるだろうから確かめないで、20年もの間、自分の適量を判断して酌んでいるがときどき増量に変化する。

満身創痍ながら平均寿命に到達した。むしろ平均寿命が追いかけてきているほど超高齢者が多くなったのだ。クスリの服用も増えても減ることは無いだろう。しかし、これからはクスリとは別次元でIPS細胞の出番になるかも知れないだろう。八十路を下る身では老化、劣化は必然の成行きだが “知恵と心がけ”のクスリは老人の「安全保ショウ」かも知れない  了

                                   2015-9-23

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Author: カムバックハート

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カムバックハートこと、鍋島と申します。神奈川県川崎市在住の49歳男性。

2008年12月に僧帽弁形成手術を受けて、第二の人生をスタートさせることができました。

南淵先生と私

南淵先生と私(術後の初外来にて)

フィルムで写真を撮るのが趣味です。(元)心臓病仲間のポートレート写真展の開催に向けて準備中です。詳細はこちらの記事。「創と私」「術前 vs 術後比較ポートレート」「病気を支えた家族と(元)患者のツーショット」「笑顔の(元)心臓病仲間のポートレート」のテーマで作品制作中です。これから心臓手術を受けるかもしれない人達に元気になる期待と勇気を与えたいと思っています。

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南淵明宏先生の公式サイトにある「勇患列伝」 その7に出てくる「平松」とは私のことです。

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